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2014.07.26

戯曲の骨格

Cuckoo

 東京芸術劇場で上演中の「カッコーの巣の上で」を観て来ました。この作品がマクマーフィ=鹿賀丈史、チーフ・ブロムデン=滝田栄、ビリー・ビビット=市村正親という豪華な顔ぶれで日本初演されたのを観て以来、私はこの作品のマニアを自称しておりまして、プロはもちろんアマチュア劇団による上演までとにかくこのタイトルを耳にすればできるだけ観劇して来ました。今回は小栗旬さんのマクマーフィを中心にフレッシュで芝居勘の良さそうなメンバーを集めての上演。どんなものになるか楽しみに劇場へ足を運びました。元々の戯曲の骨格がしっかりしているので書かれてある通りを演じればこの作品は間違いなく鮮やかに立ち上がります。過去には下手な工夫をしたために台無しになっていた上演もいくつか観ましたが、今回はごくスタンダードな衒いのない作品作りで私のイメージする「カッコー」の世界が広がっていました。ラチェッド婦長の神野三鈴さんがまさに私の考えるラチェッドを体現してくださり、安心して観ていられたのが一番のポイントかな。そしてビリーを演じた大東駿介さんが素晴らしい。以前「もっと泣いてよフラッパー」で観た彼とはまったくの別人で、驚きました。こういう役者さんは面白くて観る甲斐がありますね。
 中京記念はフラガラッハをアタマにクラレント、マジェスティハーツと固めに流してついでにミッキードリームへちょっぴり。エルムSはソロルからアンコイルド、フリートストリートへ。

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2014.07.19

追悼/馬なりの大恩人

Tsuitou

 「馬なり」の愛読者の皆様にどうしてもお知らせしておかなければならないことがあります。
 7月初旬、双葉社の編集者であった郡修さんが亡くなりました。まだ49歳という若さでした。この方は「馬なり」が今あることの大きなきっかけを作ってくださった方です。当時、週刊競馬報知で連載されていた「馬なり」を競馬好きな郡さんがずっと愛読してくださっていて「ウチで単行本にしましょう」と声をかけてくださったのです。マンガなど描いたことがなく、マンガ本の出版についてもマンガ家としての活動のし方も何もわからない私を、単行本化・週刊漫画アクションでの連載・webへの移行、いつでも「そのままやればいいよ」とゆる手綱で自由に走らせてくれました。近年はファッション誌の編集長をつとめておられ、直接の関係は細々としたものになってしまっていましたが、時々双葉社を訪れる時には顔を見に出て来てくださって、いつでもそうして見守ってくださっていることが心強く、心のどこかで拠り所になっていただいていました。父の葬儀の時にもご多忙の中を駆けつけてくださいました。去年の年末に「来年は午年だからウチの雑誌の年賀状にイラスト使わせてくれない?」とお電話があったのがお話しした最後になってしまいました。この人が「馬なり」に目を止めてくださらなかったら「馬なり」の今はなかったと思います。私も今のように幸福な、やりたいことをやれる人生を歩めてはいなかったと思います。私の、そして「馬なり」の大恩人です。だから、この人の名前とこの人の功績を「馬なり」の読者の皆様には知って欲しいのです。この人を失ったことが悲しくて辛くて、胸が塞ぎます。見上げるほどに背が高く、とてもオシャレな人でした。帽子やサングラスやPRADAの靴など故人の愛用品が展示されたお葬式にはたくさんの人が参列し、幅広く華やかな人脈からのお花が並び、祭壇は白い花で競馬のコースと馬が形作られていました。亡くなるギリギリ前まで馬券を買っていたそうです。本当に競馬がお好きだったんですね。担当をしていただいてた時、毎週「コオリですけど」とちょっと早口で電話をかけてきてくれた声とその口調が今もクッキリと耳に残っています。大切なかけがえのない人を喪いました。ただただご冥福を祈りながら、これからも「馬なり」を私なりに続けて行くことが一番の供養だろうと心を奮い立たせています。
 今週は予想はお休みです。ごめんなさい。

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2014.07.11

拾ったり拾えなかったり

Jeeves

 ゲリラ豪雨に大型台風、異常気象がもう異常ではなくなっている今日この頃、皆様平穏にお過ごしでしょうか。ここしばらくの間に観た舞台、いずれもミュージカルで「カルメン」「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」「天才執事ジーヴス」。中には拾い物的に楽しかった舞台もあり、期待にそぐわない出来だったものもあり…でも、例え作品そのものの出来はよろしくなかったとしても私は“役者好き”なので、この役者さんはイイなぁうまいなぁ面白みがあるなぁ見せるなぁというところを発見するだけでも楽しめるものです。応援してる馬の着順が思わしくなくても姿を観るだけで嬉しい…そういう楽しみ方もありますからね。
 七夕賞はマイネルリラックマ…もとい、ラクリマの連覇を期待。今年は連覇がトレンドですし。相手にはラブリーデイ、ヴィクトリースター。プロキオンSはパドトロワを応援したいので、ベストウォーリア・ノーザンリバーといった人気どころにぶら下げてみることにします。それにしてもパドトロワ、ブービー→ブービー→ブービー→シンガリって…が、がんばれ。

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2014.07.04

カンフーSFアクションミュージカル

Moedra

 リーディングミュージカル「燃えよドラゴンへの道」を観ました。リーディング形式の上演は近年とても流行していて、役者さんが台本を手に最低限の動きをつけた上でセリフを読み上げて行くという形が基本です。大がかりなセットや長期の稽古期間が必要なく、低予算で上演できるというのが利点ではありますが、安直な方法だとの批判もあるのは事実です。で、この舞台はというと…リーディングなんてまったくもって名ばかり、確かに台本を手にしてはいるのですが台本を持っていることさえネタにした緻密な演出、抱腹絶倒のシナリオ、全編オリジナルのミュージカルナンバーはアイドルソングから大バラードまでの名曲ばかり、普段は大劇場でガンガンやってる精鋭メンバーが客席数70ほどの空間で歌って踊って芝居してカンフーして、犬になったり仏像になったり様々な名作ミュージカルのパロディに興じたりの七転八倒八面六臂。上演中はキャストも演奏者も、観客までもが誰一人として一瞬たりとも休ませてもらえない過酷さが笑いにつながり、それはそれは楽しい作品へと結実していました。マイクなしの生声でこんな贅沢なキャストの歌声を聴けるなんて、汗が飛んでくるような距離でこんなすごい人たちの芝居が観られるなんて、演劇ファンとして本当に幸せでした。今もフッと脳裏に浮かんでくる歌の断片や場面場面の記憶にニタニタしてしまうのです。楽しかったなぁ…いやー楽しかった。うん。
 宝塚記念でゴールドシップを無印にして大恥かいたよしだ予想…“皆様のお役に立つ”本来の存在意義を遺憾なく発揮であります(笑)。ラジオNIKKEI賞はショウナンワダチからベストドリーム、今をときめくハーツクライの仔・ラリングクライへ。CBC賞は3歳ベルカントがまとめて負かすという場面を見てみたい。相手はエピセアローム、ルナフォンターナ。

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