役者の“華”
ミュージカル「ミス・サイゴン」を観てきました。2004年以来久々の上演ですね。今回行ったのは日頃あちこちの大舞台でアンサンブルとして主役陣を支え、手堅い仕事ぶりを見せている役者さんたちがメインの役に配されている日。地力は充分のはずの彼らが思う存分のびのびと実力を発揮しているであろう姿を楽しみに席に着いたのですが…これは観劇後、色々考えさせられてしまいました。うーん、なんというのか…どうしても何か突き抜けたものを感じられなかったのですね。歌もうまいし芝居もていねいできっちり演じてて、決してどこが悪いわけでもないのだけど、何かどこかでリミッターがかかっているような感じで、こちらを圧倒するような風が吹いて来ない。この作品は特に、人物1人1人によほど説得力がないと暗くて悲しくてつらい話の流れに感情を添わせることができず、客観的になってしまってキツイのですよ。せめて誰か1人でも特別に魅力的で心を掴んでくれれば、それで舞台上に流れる時間を一緒に生きるとっかかりにできるのですが。そんな中でやはり常日頃から舞台の主役やメイン級をつとめている橋本さとしさんの持つ“華”は突出して目を引くのでした。こういう違いって、なんなのでしょう…持って生まれた質の問題なのかなぁ。いつも劇場で観ているあんな人やこんな人の突き抜けっぷりがいかにものすごいものなのかを改めてつくづくと知らされる結果となりました。難しいものですね…。
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