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2007.06.17

昔、わたしはここに来た

Moscow
 「レ・ミゼラブル」20周年記念SP公演に通う間隙をついて加藤健一事務所の「モスクワからの退却」を観て来ました。昼に鹿賀丈史さん、夜には加藤健一さんに久野綾希子さんと、好きな役者さんを続けて観る贅沢。
 今回はカトケンさんが「シリアスな芝居で、こういうものをお客様にどう楽しんでいただくか考えている」というようなことをおっしゃっていたのでどんなに難しい息苦しい芝居なのかと覚悟して行ったのですが、胸の詰まるような厳しいやりとりの中にも自然な笑いが盛り込まれた良い出来でした。ギャンギャンと要求ばかりするキツイ妻の役を久野さんが持ち前のかわいらしい雰囲気で和らげ、人の気持ちに歩み寄ろうという努力の足りない夫の役を加藤さんが奥行きを感じさせるゆったりとした持ち味で和らげ…そのへんが観てる客に拒否反応を起こさせることなく楽しませる芝居としてうまくまとまった勝因でしょう。30年連れそった夫婦が結婚生活にピリオドを打つ話で、妻の感情も夫の言い分も理解できるなぁという感じ。やはり人と人とは、特に夫婦や恋人や家族は言いたいことをきちんと伝え合って理解し合って生きて行かなくちゃなぁと思いました…なんかこう、人としてしみじみと考えさせられる話。夫婦とその息子の3人しか出てこない小さな世界の話ですが、誰の身にも起こり得る大きな話でもあるのです。

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