Ship of Dreams
「タイタニック the Musical」を観ました。チケットを手に入場する時、なんだか不安な気持ちに…そう、誰もがこの船が沈むことを知っています。劇場に入る=乗船する気分になっていて、それでビビッたらしい(笑)。あの有名な海難事故をなるべく史実に忠実に舞台化したもので、辛く悲しい物語の流れを美しい楽曲が力強く支えた佳品でした。好きな役者さんがたくさん出ていたので短い日程の間に続けて数回観たのですが、正解でした。この作品はタイタニック号の運命をではなく、乗客や乗員1人ずつそれぞれの物語とその生命の行方を細かく見つめて行くという観方が正しいようです。自分の作った船の弱さを悔いながら船と運命を共にした設計士、社会的に高い地位にありながら年寄りは後だと叫んでとうとう最後まで救命ボートに乗らなかった高潔な老夫婦、ささやかな夢とともにアメリカへ渡ろうとしながら未来を断ち切られる3等船客たち、最後の最後まで乗客のために気高く働き続けた航海士や客室係、通信士、楽団、ボイラーマン…今これを書きながら思い出しただけで涙が出ます。久々に再演を強く願う演目に出会いました。
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