新しい壁
山本耕史さん主演の「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」を観て来ました。評判の良かった初演(三上博史さん主演)は見損ねていて、今回は好きな役者の1人である耕ちゃん(馴れ馴れしいな…いや、子役の頃から観てるんでどうも…)がヘドウィグをやることになったので楽しみにしてたんですが、これは…ちょっと私には合わなかったみたいです。主人公が激しく歌いまくるロックのライブの中で彼女(性転換者なのです)の人生が語られるという形の舞台で、どうも私は参加型ミュージカルってのが苦手なんですよ、手拍子とか掛け声とかスタンディングとか。トシのせいではなく(笑)性格的にね。舞台を観る時はただひたすら、客席で舞台の上から訴えかけられて来る物をじっと受け止めたい、参加なんておこがましいわ、というのが私の演劇鑑賞の態度なので。競馬の観戦態度も同じだな。で、私だけではなく会場も多分ほとんどが似たような“芝居を観に来た”演劇ファンだったように思われ(一段高いバルコニー的な席から観たので客席が見渡せたのです)、ハードなライブに乗り切れずどうしたもんだか戸惑っている感じがありあり。こういう演目はなかなか、日本では難しいな。耕ちゃんはとても深い重い伝わる芝居をしてたし、そのメッセージの内容は理解して受け止めたつもりなんだけど…ヘドウィグが叫ぶ「壁を引き倒してみろ!」が、私にはできなかった。今後、自分の中にあるそういう壁を突き破るべきかそのままに守るべきか、ちょっと自分に問うてみましょうか。あ、そうそう、主人公が言う“壁”というのは狭義ではベルリンの壁のことで、彼女は東ドイツ出身なのです。なんだかドイツから縁が切れないなぁ。パンフの後ろの方にドイツの分裂から統一に至るまでの年表が載ってて、ラッキー☆