マンガ家かくある…べからず
吾妻ひでお著「失踪日記」を読みました。とても面白かったのだけど、まがりなりにも同業者としては色々と考えさせられるところがあり、笑ってる場合じゃないものも感じたりしました。天才的ギャグ漫画家@シュール系というのはなんというか、自分の身を切って売ってるようなところがあって、描けば描くほど自我の底までさらけ出してタコが自分の脚を喰うような状態に陥って行くんでしょうね。私はそういう風には到底ならないだろうし、なれない。私はしょせん“職人さん”だから。
原稿落として失踪だ、執筆活動に行き詰まってアル中だというところまで行かないとマンガ家だなんて名乗っちゃいけないんじゃないかという思い込みもあって自分の本業はイラストレーターだと固く決めていて、今でも名刺の肩書きはそうなんですけど、近年とうとうマンガ家と名乗ることにしたんです。いや、税務署がね、面倒な電話かけて来るんですよ。イラストレーターだと「手持ちの作品はないか」「売却されていない作品は経費があーだ課税がこーだ」と。そもそもそんな額縁に入れて画廊に出すようなえらそうなイラスト作品なんか描いてないんだし。「今はマンガと挿絵の仕事がほとんどなんですけど、マンガ家ってことにすればこういうこと聞かれないで済むんですか?」と聞いたらそうだと言うから、その日から私はマンガ家になりました(笑)。
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